「情熱大陸」に出演したアンガールズの田中卓志
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 ここ数年のうちに、かつて嫌われていた芸人が再評価されるケースが増えている。雑誌などの「抱かれたくない芸人」「嫌いな芸人」のアンケート調査で常に上位だった出川哲朗や江頭2:50が、今ではどちらかというと好感度の高いタレントになっていて、華々しい活躍をしている。

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「ブサイク芸人」「キモいキャラ」というイメージの強かった南海キャンディーズの山里亮太も、現在では朝の情報番組『DayDay.』など多くの番組でMCを務めている。そして、同じくキモいキャラとして知られていたアンガールズの田中卓志も『呼び出し先生タナカ』などで司会を担当しており、山里に続く逸材として業界内でどんどん評価が高まっている。

 デビュー以来、田中のタレントイメージは少しずつ変わり続けてきた。まず、デビューしてすぐにアンガールズとしてブレークした第一期には、シュールな芸風のおしゃれなコント芸人というキャラクターを打ち出していて、「キモかわいい」と言われていた。独特のゆるい世界観のコントが評判を呼び、若い女性ファンも多かった。

いつしか単なる「キモい」芸人に

 しかし、そのブームがいったん落ち着くと、「キモかわいい」から「かわいい」の要素がなくなり、田中は単なる「キモい」芸人と言われるようになった。初めのうちは、そのような扱いを受けることに本人も戸惑いを感じていたが、「そこまで言われるなら」と徐々に開き直り、バラエティー番組では自分から積極的にキモさを出していくようになった。その結果、この分野は田中の独壇場となった。

 その後、世間でルッキズム批判の風潮が高まり、容姿イジリのお笑いに対しても厳しい目が向けられるようになってきたことで、田中の評価にも変化が起こった。第三期では、キモいキャラを打ち出している田中が「実はすごい人なのでは?」「賢いし実力もある」などと言われ、そういうところが評価されるようになってきた。

 そして、第四期の現在では、MCを任されたり、お笑い賞レースの審査員を務めたりすることもあり、完全に知的な「できる男」のイメージが強くなった。「キモいキャラ」というのも彼が世間に求められて演じているキャラの1つに過ぎない、というふうに考えられるようになった。

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すごい芸人が前提