AERA 2025年2月10日号より

 ただ、三柴さんは、「目的もなく資格を取っても意味はない」と語る。資格は「手段」であり「目的」ではない、と。

「そもそも全く縁がなかった分野での資格を取得しても、そこから実務を踏むことは年齢的には難しく、とくに副業として成り立つかは現実的に疑問です。中高年の場合はそれまで働いてきたことで得た知識やスキルの証明として資格を手に入れるというカタチが望ましいと思います。また、資格の学習は、その分野の知識を網羅的に効率よく学べるという側面もあります」

 例えば「宅地建物取引士(宅建士)」は、学習することによって民法・宅建業法など不動産に特化した知識を効率よく入手することができる。

 マネーの専門家である「FP(ファイナンシャル・プランナー)」は自身の保険の見直しや相続、ライフプランの計画が可能になる。

学習習慣もポイント

 最後に紹介する「情報処理技術者」はいま人気の資格だ。IT系の資格の中で唯一の国家資格で、13種類ある。その中で入門的な「ITパスポート」はDXの人材育成が急務になる中、取得を進める企業も多い。中高年にとってもITの基礎的知識の底上げになる、と三柴さん。

「どの資格も、取得するためには一定期間の継続した学習が必要となります。学生以来、机を前にして学習したことがない方も多いはず。学習の勘や、集中して学習する習慣を取り戻すことも意外とポイントで、重要です」

(編集部・野村昌二)

AERA 2025年2月10日号

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