清宮の再生に取り組んだ新庄監督
だが、プロ入り後、最初に頭角を現したのは村上だった。高卒2年目の19年に36本塁打をマークすると、その後は球界を代表する長距離砲に駆け上がる。22年には日本人最多の56本塁打を放ち、史上最年少で三冠王に輝いた。昨年も本塁打、打点の2冠を獲得し、25年オフにポスティングシステムでメジャー挑戦することが確実視されている。
一方、清宮も才能の片りんは見せていた。清宮の魅力は直球に強いことだ。「投高打低」が顕著となる中で、他の打者が対応に苦しむ150キロ超えの直球をきっちりコンタクトする。日本ハムと対戦するパ・リーグ他球団の選手は、清宮についてこう語る。
「入ってきた時からモノが違うと感じました。外野を守っていても他の選手と打球の質が違う。打った瞬間の軌道がホームランアーティストです。中村剛也さん(西武)の打球が、高々と上がって外野フライだと思ったら落ちずにスタンドに入ってびっくりしたことがありましたが、清宮も弾道が近い。以前はもっと粗かったですが、コンタクト能力が上がって穴がない打者になっています」
しかし、度重なる故障も影響して清宮は伸び悩んできた。21年は入団以来初の1軍出場なしに終わり、「トレード要員」とささやかれた時期もある。再生に乗り出したのが22年から就任した日本ハムの新庄剛志監督だった。
「監督に就任して清宮への期待は大きかった。清宮に減量指令をして話題になりましたが、当時GMだった稲葉篤紀2軍監督と共に技術指導に当たり、打撃フォームの大幅改造を敢行しました。オープンスタンスからスクエアになり、手首を動かす仕草も小さくなりました」(当時日本ハムを取材したスポーツ紙記者)
昨年の打撃フォームを見ると、手首を動かす独特の構えは小さくなっているが、まだ続いている。昨年は実績を残した清宮だが、その能力を考えればまだまだ物足りない。ラミレス氏の指摘した動作はなくせるのか。今年の清宮の打撃フォームに注目したい。
(今川秀悟)