昨日は笑顔が強張っていたり声がこもっていたりした参加者も、プレゼンを終える頃には、全員が五つのルールをしっかり守って話せるようになっていた。自分も含め、キャンプ前と後との印象の違いや進歩の度合いは歴然。修了証を渡されたときには、涙ぐむ参加者もいた。
心理的バリアを取り除く
1カ月後に海外出張が控えているという外資系製薬会社勤務の40代の男性Hさんは、じつは今回が2度目の参加。その理由を「しゃべることに対するバリアが取れるんですよね。出張前にもう一度トレーニングしたいと思って」と明かしてくれた。普段から英語での電話会議などは頻繁に行っているが、「それは事前に準備しておけばなんとかなる。でも、フリーディスカッションが苦手なんですよ。ワークショップで意見を出し合うとか、その場で話し合うような会話はちょっときついし、出張中に一緒に飯を食うのもしんどい(笑)。それをぶっ壊さなきゃいけないなと思って」参加したそう。
キャンプスタート時からかなり話せると感じたとおり、TOEICは900点。参加の必要性はないような気もしたが、「自分の意見があっても、出遅れて会話に入れないときがある。ちょっと自信がないときに黙っていることもあるじゃないですか。そういう心理的なバリアを、ショック療法的に取り除く。その効果が大きいと思いますね」
5月に海外での学会発表があるというメーカー研究職の40代男性Nさんも同意する。「プレゼンも質疑応答も話題が限定的だから聴き取りさえできればどうにかなる。でもそれだけでは済まないので」トレーニングを決意。「休憩中のフリートークがいちばん怖い」と苦笑いする。
ちなみにEBCでは休憩時間もランチタイムも、三々五々、雑談で盛り上がる。もちろん日本人の生徒同士の会話も英語だ。2人は「昼ご飯どうしようって思ってた」「休憩のときとかね」と笑う。「先生方が気を使って、しゃべっていない人がいたらちゃんと声をかけてくれる。聴き取れるように話してくれているとも感じたので、ありがたかったですね(笑)」(Nさん)
なお、Nさんはキャンプの翌日、「少し前にビジネス会話表現のシャドーイング(英語を聴き、それを真似て声に出す訓練法)を始めたのですが、参加前は0.7倍速のリスニングでギリギリだったのに、参加後は0.8倍が余裕、等倍でもできるようになっていました。間違いなく効果はあった」と、自身の変化を報告してくれた。