ここで繰り返し説かれるのが、英語を話すうえで重要となる「5 Golden Rules」。「大きな声」「ジェスチャー」「アイコンタクト」「笑顔」、そして「情熱」! シンプルながらも、言うは易く行うは難し。立ち上がって叫ぶかのような大声を出し、大げさな身振りで夢を語る。この心理的障壁の破壊力は抜群だ。
本音を明かせば、自ら手を挙げたにもかかわらず、参加日が近づくにつれてブルーになっている自分がいた。人と話すことは好きだし英語の発話にも抵抗はないが、人前に立って話すという行為が日本語でさえも苦手なのだ。だが、できるまで何度でも「もう1回」と笑顔で促されるうちに吹っ切れたのか、「もっと大きな声で」「ジェスチャーにバリエーションを」「全員と目を合わせて」という指示に従ううちにテンションが上がり、楽しくなっていった。
「異文化の壁」も打破する訓練
EBCで重視されているもうひとつの要素が、「セカンドベストイングリッシュ」による瞬間発話力。与えられた英単語を、自分が知っている単語と表現を駆使してパートナーに説明して当ててもらったり、さまざまなシチュエーションの写真を見ながら、その外見や行動、内面を想像して描写したり。とにかく、いま持てる知識を総動員して「英語で描写する」「英語で説明する」行為を繰り返すうちに、思考が英語に切り替わり、反射的に言葉が出るようになる。
ちなみに個人的には、このときに教わった、何かを説明する際には、category、location、purpose、それからthe opposite of とsimilar to、for exampleと、大きな概念から小さな概念へと順を追うと伝わりやすい、という教えが非常に役立った。
また、会話に間を作らないための言葉や、相槌の打ち方、話の遮り方といった表現から、握手の仕方、目をそらさない訓練まで、もはや英会話力というよりはコミュニケーション力と言うべき内容もふんだんに盛り込まれている。これこそがEBCが重視する最後のポイント、「異文化の壁」の打破でもある。
1日目は、朝9時20分に始まり、夜7時までの10時間弱。終了後に宿題がいくつか出るのだが、ひとつめはなんと「睡眠をしっかり取ること」。そのときは疲れたという実感はそれほどなかったのだが、翌朝起きたとき、大きなジェスチャーの後遺症か、腕の付け根が筋肉痛になっていたのにはちょっと笑った。
2日目は、1日目の復習に加え、耳で聴き取った内容を瞬時に言い換えるリフレーズや、エレベーターピッチと呼ばれる短時間での簡潔な説明方法など、一段階上げた訓練を積み重ねていく。そして、午後いっぱいかけてのキャンプの仕上げが、プレゼンテーション。チームごとに短時間でクライアントからの要望を聞き出して、それに応えるプランを立案。プレゼン資料を作成して全員の前で披露する流れだ。