講書始の儀に臨む天皇、皇后両陛下と長女の愛子さま=2025年1月10日午前10時36分、皇居・宮殿「松の間」

「愛子も一緒に」と雅子さま

 儀式の後は、両陛下と講義を務めた研究者らが懇談する場がある。

 武田さんのほか、「産業革命サイクルと市場の質」について講義をした京都大学の矢野誠・名誉教授、そして「サイトカインによる免疫応答の概要と科学・技術のこれから」について講義をした東京大学の谷口維紹・名誉教授の3人が、大きなテーブルのある宮殿の別室で待っていると、陛下と雅子さま愛子さまと一緒に入室された。

「愛子も一緒にお願いいたします」

 雅子さまは、武田さんらにそう断りを入れると、ご一家でテーブルについた。

 懇談は終始和やかな空気で続き、陛下が武田さんにスポーツについて話題を振ると、愛子さまも「私も運動をしたいです」と加わる場面もあったという。
 

 武田さんは講義のなかで、性差のない古代日本の衣服は、男女間の境界線があいまいな日本の美意識に影響した、と話した。たとえば、神話では天照大神(あまてらすおおみかみ)の男装や日本武尊(やまとたけるのみこと)の女装、姫君と若君が入れ替わる平安時代の『とりかえばや物語』などの例を挙げた。

 愛子さまは武田さんに、

「大学時代に『とりかえばや物語』は、読みました」

 と、懐かしそうに話したという。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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