朝、起きられない。せっかくの休日なのにベッドから抜け出せない。多くの人が抱えるこの悩み。実はちょっとした工夫改善できる! 自身もADHD(注意欠如多動症)特性のある「不器用」当事者で、認知行動療法を専門とする臨床心理士として、多くのメディアに出演してきた中島美鈴さんは著書『仕事も人生も、これでうまく回る! 不器用解決事典』(朝日新聞出版)の中で、具体的な解決策を担当したケースを参考にしたお悩み相談形式で、紹介している。今日から誰でもできるひと工夫を、本書から一部抜粋・再編集して紹介する。
アオイさん(20 代・アパレル店スタッフ)のぼやき
「なぜ、毎朝起きられないの?」
どれだけ寝ても朝起きるのがつらいと感じています。21時に寝て、睡眠を10時間とったとしても、朝7時に起きるのがつらいのです。とはいえ、目覚まし時計が鳴ったら、そこからは半分起きているようなもので眠気が強いわけではないのに、とてつもなく起きるのが嫌なのです。一旦起きてしまえば、日中の眠気もないのですが、どうしても朝すっきり起きられません。
なんで、こうなるの?
アオイさんのように、寝起きが悪い人は一定の割合でいます。低血圧のように体質由来の人もいますが、アオイさんの場合は、「起きても面倒なことだらけで、起きるのが嫌」なのだそうです。
平日は「今から仕事か。嫌だな」、休みの日でも、「ああ、起きて洗濯しないといけない。面倒だな」というように、起きた後に何も楽しみがないと感じているのです。つまり面倒なことから「寝逃げ」しているのかもしれません。
うつやADHD(注意欠如多動症)などの影響で活動するエネルギーが落ちている場合にも朝起きるのが億劫になります。「どうせ起きてもつらい1日が始まるだけだ」とか「ああ、今日も仕事なんてうまくこなせるわけがない」などと考えると落ち込んでしまい、起きる意欲がますます減ったり、全力で現実逃避しようとしてしまうのです。