一見似た「お困りごと」も、本人にとっては別のこと
世の中には、片付けやスケジュール管理に関する本もADHDの人向けの本も山のように存在します。多くの本が困りごとについて抽象度の高い状態で描かれています。
たとえば、「整理整頓」の原則は、「全部出して」「いるものといらないものに仕分け」「元の場所に収める」といった工程が多いでしょう。しかし、いざこれを実践しようとすると、さまざまな困難に遭遇します。
たとえば、下の例をご覧ください。クローゼットの中と食器棚の中の断捨離は異なります。
サイズや流行、他の服との組み合わせ、さらには人にどう見せたいかといった心理面も影響する。
家族構成、人を家に招く頻度や来訪する人数といったライフスタイル、食や食器の好みも影響する。
同じように、パソコンの中とバッグの中のごちゃつきも異なります。
古いデータ、一時的にダウンロードしたデータ、圧縮を解凍により文字化けしたファイルなどカオスになる。
仕事用と遊び用(インドアかアウトドアかでも)では異なるし、季節や天候に応じて増えるものもある。
さらに、よくよく聞いてみると、「もしも忘れ物をしたら怖い」といった不安の問題や、「私なんかにこんな素敵な服はふさわしくない」といった自尊心の問題、「まとめて断捨離する時間がない」といった面倒くささなど、他の問題も混在しています。
CBTでは、このような具体性を重んじます。
そのため、『仕事も人生も、これでうまく回る!不器用解決事典』では一見似たようなお困りごとであっても、どこに困っているのか、悩んでいるのか、原因は何かといった観点で細分化し、具体的にお伝えしています。
一見似ているようでも、それぞれの問題に独自の解決方法があり、それを適切に見つけ出すことが大切です。具体的な困りごとに対して、具体的な対策を講じることで、より効果的に問題を解決できるのです。