1月24日から通常国会が始まった。自民、公明で過半数を確保できない石破茂首相にとっては昨年に続き、厳しい国会運営が予想される。さらに念頭にあるのは、その先にある今夏の参院選だろう。衆院選での大敗の流れを断ち切ることはできるのか、じわりと攻勢をかけてくる立憲民主党への対抗手段は……。政治ジャーナリストの安積明子氏に聞いた。
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石破茂首相は1月12日、議員宿舎から首相公邸に引っ越した。これまで使用していた議員宿舎は引き払わずにそのまま利用するというから、「不退転の決意」ではないようだ。
その直前の9日から12日まで、石破首相はマレーシアとインドネシアを訪問したが、それが良い意味で転機となるのだろうか。
昨年11月にAPEC首脳会議でペルーを訪れた際には、フジモリ元大統領の墓参りに出かけて集合写真撮影に遅れてしまった。また会議場では各国の首脳が互いに談笑し、“オフの外交”を展開している中、石破首相はひとり座席に座って携帯をいじる様子が報道された。マレーシアのアンワル首相らが握手を求めると、満面の笑みを浮かべてそれに応じたが、立ち上がらずに座ったままだった。
衆参同日選の可能性に言及したわけ
しかしマレーシア、インドネシアの訪問には佳子夫人が同行し、会談も相手国首脳との1対1のバイ会談だったので、石破首相は臆することはなかったようだ。
だが1月24日から始まった通常国会では、野党から厳しい追及が待っている。とりわけ昨年の衆院選で自民、公明両党が大敗して過半数を割り込んだため、7月に予定されている参院選は絶対に負けられない。だから石破首相は昨年末のテレビ番組で、衆参同日選の「可能性」について言及したのだろう。もっとも2022年の参院選で自民党は、投開票日の2日前に安倍晋三元首相が凶弾に倒れたことで“弔い合戦”となり、改選議席数を8も増やしている。
よって夏の参院選では、自民党は大きく票を減じない限り、自公で過半数を割る可能性は大きくないが、油断は禁物。政権を狙う立憲民主党はじわじわと攻めつつある。