唯々諾々と従うのはテレビ局だけではない。スポーツ紙をはじめとする芸能マスコミにも、“これは事務所に頼まれて書いてるな”と思えるようなチョウチン記事は数多く見受けられる。
芸能人の記者会見では、開始前に司会者や主催者から“この質問(いま世間を騒がせている問題)はナシでお願いします”といったお達しがあることが多く、何故かは知らないが芸能リポーターは皆が皆、それに従う。
私の経験から言うと、ずいぶんとむかし、あるタレントさんを取材して原稿を書いたら、ゲラを読んだマネージャーさんが激怒しながら電話をかけてきたことがある。こんなことを書かれたら困る、うちのタレントのコメントを修正してくれとマネージャーさんは言う。
断ると、今度は脅しめいたことを口にするので私も負けじと言い返す。おたくのタレントさんは原稿にしたとおりのことを言っているし、内容はテレコでしっかり録ってありますよ。聞きますか、と。私では埒が明かないと思ったのか、マネージャーさんは編集部に電話を入れたようだった。今度は担当の編集者から電話がかかってきて、マネージャーさんとのあいだで話はついているらしく、例の箇所は編集部で修正すると言う。ついでにマネージャーさんに抗議の電話なんかしないでくれ、と念を押されたりもする。
要は、芸能事務所が直せと言っているのだから直す、ということだ。
なんだかなあとは思うが、芸能マスコミにはそういう“なんだかなあ”がずいぶんある。これから小池百合子新都知事の都政が始まるが、自民党都議連のドンを取り上げるワイドショーは、業界のドンの言いなりに有吉‐夏目の熱愛を取り上げないという滑稽なことをしているのだ。
〈これを狐につままれたような気分というのか。。。〉
有吉はツイッターでこう呟いた。田邊社長サイドは日刊スポーツの熱愛記事を全否定で、とりわけ夏目アナの妊娠については医師の診断書を出してもいいとまで言っているという。夏目アナ本人も、記事は誤報だと言っている。
熱愛報道の真偽はわからない。だが、愛しあっている二人を、ドンの圧力が引き裂くようなことがあるのなら、いくら寵愛しているとはいえ、それは酷というものだ。(文中敬称略)