ギャンブルに大金を注ぎ込んだり、本格的な音楽活動を始めたり、アーティストの「あの」との疑似カップル的な関係を見せたりもした。そんな中で『FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!』(フジテレビ系)のMCを務めるなど、メディアの仕事もこなしていた。いまや粗品自身が1つのメディアのような圧倒的な存在感を持っている。
一方のせいやは、コンビではなく単独でテレビに出る機会もますます多くなり、サブMC的なポジションで重宝されるようになっている。自身のいじめ克服体験をつづった著書もベストセラーになっていて、その勢いはまだ止まる気配がない。
さらに、年齢的には霜降り明星とほぼ同世代の令和ロマンが、『M-1グランプリ』で前人未到の連覇を達成した。今後もまず破られないと思われるような驚異的な記録である。令和ロマンの高比良くるまは「テレビに出ない」と宣言したり、お笑いをはじめとするさまざまなことについて「分析芸」を披露していたりして、これまでの芸人にはない新たな個性を発揮している。
今年の『M-1グランプリ』が終わった後にも「審査員席に松本がいなかったのが残念だった」という声はほとんどなく、大会そのものを純粋に楽しんでいた人が多かった。
松本が今後どういう動きをするのかはわからないが、少なくとも2024年においては、彼のいないお笑い界で人材が順調に育っていて、新しい景色が見えるようになった。ここに挙げたキーパーソンを軸にして来年のお笑い界も回っていくことになるだろう。(お笑い評論家・ラリー遠田)