かまいたちは千鳥に比べると芸風がマイルドで、大きい番組の中心に立つのも似合っている。クセの強い笑いを売りにしているダウンタウンの後継者が千鳥だとすれば、万人受けする柔らかい芸風のナイナイの後継者がかまいたちであると言えるかもしれない。千鳥とかまいたちは吉本興業を支える不動のツートップとして、来年も活躍が期待できるだろう。
麒麟・川島の台 頭
さらに、今年は川島明もますます勢力を拡大させている。番組を進行するだけではなく、ワードセンスを生かした「たとえツッコミ」やイジリで笑いを取っていく。どんな状況になっても最後に川島が落としてくれるという安心感があるので、共演する芸人やタレントものびのびと振る舞うことができる。
大喜利で面白い回答を考える力、いわゆる「大喜利力」が川島の能力の根底にあるのは間違いない。だが、それだけではない。12月5日と12日に放送された『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)の「芸人ポーカーGP」という企画では、芸人を手札としたポーカーを行い、どれだけ上手く役を揃えられるか、という争いが行われた。この場合の「役」というのは、芸人の見た目や特徴に共通点を探したりして、そこに名前をつけていく作業である。
この競技における川島の強さはほかの芸人を圧倒していた。普段から大喜利を得意とする芸人はほかにもいたのだが、芸人ポーカーにおいては川島の役作りの上手さが突出していて、誰もそこには追いつけなかった。聞いたことや見たことのすべてを大喜利のお題として捉えて、面白く返すことができる川島の人間離れしたすさまじい能力は、今後もさまざまな形で生かされるだろう。
霜降り明星の粗品のインパクト
さらに、吉本興業ではその下の世代の人材も順調に育っている。霜降り明星の粗品はYouTubeを中心に精力的な活動を続け、さまざまな形で世間に大きなインパクトを与えている。先輩芸人を堂々と批判して注目を集め、それを笑いに変えたり、一人賛否という企画で時事ネタについて両方の意見を言うという設定で過激な発言を繰り返し、ネットニュースの常連になったりした。