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新グレードの望遠ズーム

 高い解像力と美しいボケ味の両立を掲げる「Gマスター」シリーズの第3弾。11枚羽根の円形絞りや、高い表面精度を持つ超高度非球面レンズなどの採用で実現される画質性能は、確かにうたい文句を納得させるだけのものを持っている。
 今回は有効約4240万画素のα7RⅡと組み合わせたが、レンズの解像力にまだまだ余裕がある印象。ボケ味は美しいというより、「汚くないボケ、邪魔にならないボケ」といったほうが近いかもしれない。高解像度でありながら無機的にならない質感描写に不自然さの少ないボケが両立した、とても扱いやすい優等レンズといった趣だ。ズーム全域にわたり、絞り開放からf11ぐらいまでの画質はしっとりと繊細な雰囲気で安定感抜群だ。
 しばらく、このレンズ一本で撮影してみたところ、ズームの中間域の135mm付近の使用頻度が高いことに気づく。ズームレンズというと、つい両端での撮影が増えることが多いから、これはちょっと珍しい。ズーム全域でムラのない描写力が魅力なレンズだが、官能的には135mm付近にスイートなゾーンを持っているズームレンズだと感じた。

ズーム中間域での撮影。触れると湿度感をともなって厚みを感じるような花びらの描写を、前後のボケの中に溶け込ませた。癖のない描写で使い勝手がよい●130mm時・ソニー α7RⅡ・AE(絞りf2.8・1250分の1秒)・ISO100・AWB・JPEG
ズーム中間域での撮影。触れると湿度感をともなって厚みを感じるような花びらの描写を、前後のボケの中に溶け込ませた。癖のない描写で使い勝手がよい●130mm時・ソニー α7RⅡ・AE(絞りf2.8・1250分の1秒)・ISO100・AWB・JPEG

デザイン
大口径のわりにコンパクトにまとまり、白い鏡筒と黒く幅広の操作リングとの視覚的なバランスも好印象。三脚固定部だけがボタン操作で外せる三脚座のギミックは便利で今後はやりそうだ

使用感・操作感
AFの手に伝わるカッチリした作動感が印象的。撮影途中の流れの中での側面スイッチ類の操作性も良好で好印象だ。スペックのわりには軽量ともいえるが、軽快に使えるかは体力次第だ

描写性
どのズーム域や絞りでも、十分な解像感と邪魔にならないボケ味だ。ハイレベルでさまざまな要素がバランスしているぜいたくなレンズ。ただ、その完璧すぎるバランスゆえ、没個性と感じるかもしれない

◆まつうらやすし

*  *  *

●焦点距離・F値:70~200mm・F2.8●レンズ構成:18群23枚●最短撮影距離:0.96m●最大撮影倍率(35mm判換算):0.25倍●画角:34°~12°30′●フィルター径:φ77mm●大きさ・重さ:φ88×200mm・約1480g(三脚座を除く)●価格:未定