AI産業が高齢化を迎える日本経済の起爆剤になるかは、未知数です。しかし、希望の芽は育っているようにも見えます。25年はAIに置いてけぼりにならないかどうかが、生き抜くためには必要なことには代わりないでしょう。

 24年は、まさに投資に沸いた一年でした。オルカン投信を持っておけば、もうOKというような風潮もありました。しかし、そうした支えになっているのはアメリカ株の堅調さがあってこそ。アメリカ株について気になる考察も紹介しておきます。

バブルの可能性

 アメリカでは、24年に株価指数のS&P500が過去2年間で54%上昇するなど、株式市場が非常に好調でした(24年12月22日配信「The Economist」)。AI技術への期待が主要な要因ですが、CAPE比率(エール大学のロバート・シラー氏が提唱した指数で、高いほどバブルの可能性を示す)などの指標が歴史的高水準に達しており、実はバブルの懸念が指摘されています。引き続き、25年以降は、金利政策や企業収益に対する期待値の調整が株式市場の行方を左右するでしょう。

 しかし、こんな見方もあります。トランプ次期大統領のビジネス重視の政策とAI革命により、アメリカ経済は繁栄の時代になる可能性が高いとの展望です。過去にアメリカにはビジネスマンのような大統領が存在していました。1923年就任の30代大統領のカルビン・クーリッジが「アメリカの仕事はビジネスである」と宣言し、自動車の大衆化で繁栄の1920年代をつくり上げたのです。トランプ氏とイーロン・マスク氏のペアがアメリカ経済に何をもたらすのか、欲をかかずに積み立て投資をしながら見守りたいところです。


引用元

  • "The World Ahead: Asia in 2025", The Economist, 2024年11月20日配信
  • "Japan is remarkably open to AI, but slow to make use of it", The Economist, 2024年10月24日配信
  • "Just how frothy is America’s stockmarket?", The Economist, 2024年12月22日配信
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