子ども部屋の扉の外側には、錯乱した佳菜子さんが包丁を突き立てたとみられる傷が12カ所ついており、扉は今も警察に押収されたままだ

 朴被告の4人の子どもたちのうち、当時8歳だった長女(現在、高校2年)は、精神的に追い詰められていた母の姿を覚えているという。

「末の弟が生まれてから、ママのイライラが目立つようになりました。パパは、感情的になったママを必死で落ち着かせようとしていました」

 一方、中学3年の長男と中学1年の次女は、仲の良かった両親の姿が記憶に残っているという。

「よく2人で(スマホゲームの)ツムツムで遊んでました」(長男)

「ママのアイスを勝手に食べたとき、ママだけじゃなくてパパも一緒に怒ってくれた」(次女)

「パパがママを殺してたらどうする?」

 事件の夜に何があったのか、子どもたちにも知る由はない。ただ、長女は子ども部屋に逃げてきた朴被告の姿を覚えているという。

「物音で目が覚めたら、末の弟を抱いたパパがいました。次に起きた時は、家が大変なことになっていて……」

 子ども部屋の扉の外側には、錯乱した佳菜子さんが包丁を突き立てたとみられる傷が12カ所ついていた。

 4人の子どもたちは現在、朴被告の実母(72)と暮らしている。父の帰りを待ち続ける中、過去には疑念が頭をもたげたこともあったようだ。

 一審があったころ、長女と次女は「パパがママを殺してたらどうする?」「そしたらパパは家族じゃない」などと話した。携帯電話を持ち始めたばかりだった長女はネットで調べ、ますます不安を募らせたという。

「SNSでは匿名の人たちがパパを殺人犯だと断定していて、何が正しいのか全部わからなくなっちゃって……。それでパパに『ママを殺してないよね?』と手紙を書いたら、『パパを信じてほしい。ママとみんなのことを愛している』と返ってきました」(長女)

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夏休み中泣いていた次男