放送局任せではなく
自前の映像を売るビジネスへ
DAZNとの契約のすべての前提は、そうした映像データのオーナーシップであった。金額の多寡や契約期間の長短だけでなく、「反動蹴速迅砲」(編集部注/『キャプテン翼』の必殺シュート「反動蹴速迅砲」に、中村憲剛と大久保嘉人が挑戦。Jリーグ職員がその動画をアップしたところ、1週間で400万再生を達成した。ここから筆者は、映像著作権を放送局に渡さず自前で持つことの重要性を知った)の学びを前提に置いたのだ。従業員の創造性を傾聴することなしには業界の常識を変える改革は覚悟できなかったかもしれない。
その道の専門家や学識経験者が私を導いてくれるわけではない。契約の内容の検討や交渉は、当時常務理事だった中西大介やJリーグメディアプロモーション社長の小西孝生らを含めた少人数のチームで行なった。
誰にとっても未経験の世界だった。時に正解のない中で、従業員の試行錯誤や遊び心の中に重大なヒントが隠されていたりする。そうした岐路を歩むと、時に誰も予期していない未開の地に足を踏み入れることにもなる。そのときは、大きな不安や迷いが存在する。