かつては専業主婦家庭であふれた「お受験教室」。共働き世帯のために、週末に開講する教室も増えてきた(写真:伸芽会提供)
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 未就学児の小学校受験では、受験教室の送迎や家庭での学習など親にかかるサポートの負荷は大きい。それゆえに、これまでは専業主婦家庭であることが多かったが近年変化しているようだ。幼児教室の運営者と都内在住のワーママに受験体験談を聞いた。AERA 2024年12月16日号より。

【図表を見る】小学校受験をした共働き世帯の割合

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 小学校受験準備のための幼児教室などを展開する「伸芽会」(本社・東京)で、多くの親子を指導してきた伸芽会教育研究所の飯田道郎所長は、こう話す。

「先行きが不透明な世の中で、キャリア志向の親たちは自身の経験から社会性やコミュニケーション力など、数値では測りにくい能力がますます求められていくと考えているようです。そういった考えが、小学校選びにも反映されているのでしょう」

 飯田所長は、小学校受験が選ばれる背景について、

「教育に対する関心の高さや価値観の多様化に加え、世帯年収の増加、過熱する中学受験を回避したい思いなどがあるようだ」

 と分析。働きながらでも、子どもを通わせやすい環境を整える学校や幼児教室も増えているという。

「伸芽会」でも、共働き世帯の受験をサポートする目的で受験対応型保育施設「伸芽’Sクラブ」を運営している。このような周囲の充実したサポートも活用することで、ワーママたちも小学校受験に挑戦しやすくなったとみられている。

 伸芽会によると、小学校受験をした共働き世帯は、10年ほど前は5割程度だったが、今年の年長会員のうち共働き世帯の割合は66.6%に伸びている。「これは保護者が情報開示したなかでの割合で、実際にはもう少し多いのが実感」(広報担当者)だという。

夫婦で協力して臨む

 小学校受験に注目が集まるなか、父親の意識の変化も目立つ。

「ここ10年で子どもの送り迎えや講演会などにお父様が参加するケースが確実に増えています。夫婦で協力して受験の準備をしている家庭が増えている印象です」(同)

 都内に暮らす大手広告会社勤務の女性(39)は、名門私立小学校に通う2年生の長男の受験を、夫婦で協力して乗り切った経験がある。

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