2024年も年の瀬に迫った。そこで、AERA dot.上で下半期(7月1日~11月30日)に多く読まれた記事を振り返る。スポーツ編の5位は「慶大不合格からケタ外れのエースに 高橋宏斗が『中日の単独指名』となった理由」(8月9日配信)だった。(※肩書年齢等は配信時のまま)
【写真】中日の“気の毒な投手”といえばこの人 将来は移籍の可能性も?
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今、球界で最も攻略が困難な投手といってよいだろう。規定投球回にわずかに足りないながら、防御率0点台、ハーラートップに迫る9勝と、ケタ外れの投球を続ける中日の高卒4年目右腕・高橋宏斗だ。(記録は8月8日終了時)
激しい優勝争いをしているセ・リーグ球団首脳がこう漏らす。
「正直、中日戦で高橋とは対戦したくない。好投手は他球団にもいますが、力が抜きん出ている。昨年までは立ち上がりに課題があったが、今年は直球、変化球共に精度の高い球を投げ込んでくるのでなかなか打てる球がない。試合終盤も150キロを超える球威十分の直球がきますし、落差の大きいスプリットとの見極めが難しい。攻略法? うーん、なかなか見つけられないですよね」
昨年はWBCで侍ジャパンに史上最年少で選出され、リリーバーで世界一に貢献。シーズンでは25試合に先発登板して7勝11敗、防御率2.53をマークした。初めて規定投球回数をクリアし、146イニングでリーグ2位の145奪三振。打線の援護が得られず白星が伸びなかったが、勝ち負けの数字が逆でも不思議ではなかった。一方で明確な課題もあった。51四球、8暴投は共にリーグワースト。失点の4割以上が一、二回に集中するなど立ち上がりの悪さも目立った。
今季は投球フォームに試行錯誤して開幕を2軍で迎えたが、4月下旬に1軍昇格すると圧倒的な投球を見せ始めた。7月は4勝0敗、防御率0.00で月間MVPに初選出。33イニング連続無失点もマークし、ここまで14試合登板で9勝1敗、防御率0.54。規定投球回に足りないが、勝ち星はトップと1差、奪三振は3位。今後も先発で回り続けて規定投球回をクリアすれば、最多勝、防御率、最高勝率、最多奪三振と投手のタイトルを総ナメにする可能性もある。
今季は調子が悪くても崩れないのが特徴だ。8月6日のDeNA戦では大人の投球を見せた。初回に1死二、三塁でオ-スティンの右犠飛で先制点を許し、2回以降も得点圏に走者を背負ったが追加点を許さない。制球に苦労していたスピリットの配分を減らし、カットボール主体の投球に切り替えてしり上がりに調子を上げ、7回6安打8奪三振1失点の力投で9勝目をマークした。