小さな娘へのちょっとした恨み節

 で、生かしておくだけでも本当に手がかかって大変なので、こっちが大事に大事に扱っているその身体を、赤ん坊のほうは平気でひっかいたり汚したりする、それが非常にこちらをはらはらさせるということ。これは思春期になって、自分の身体をあえて粗末に扱ったり危なっかしいことをしてみたりする娘にも似たようなことを思うのかもしれません。こっちが身を削って大切にしてきたものを粗末に扱われたら、きっといらだつこともあるのでしょう。

 そして何より、子どものことを何かを犠牲にしてもいいくらい可愛いと思うことと、実際に何かを犠牲にした時に後悔や恨みを抱かないということは、まったく別物だということ。子育てのため、あるいは子どもを守るためにあらゆるものを捨てられる親は少なくないのでしょうが、捨てたら捨てただけちゃんと辛い。私は出産のために落としたネイルのことですら、小さな娘にちょっとした恨み節が出ます。母の側からしても、娘との関係はあらゆる恨みをはらんだものであることはよくわかりました。

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