誰もが一度は悩んだことのある「話し方・聞き方」。職場で上司や部下とのやりとりにストレスを感じてはいないだろうか。押さえておきたいポイントを整理した。AERA 2024年12月2日号より。
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「私はいま、この話を続けてて大丈夫なのかな……」
東京都の会社員の女性(48)は、職場で不安になることがある。上司は基本的に丁寧に人の話を聞いてくれる印象はあるが、たとえば会議の場で女性が発言しているとき、「相づち」を打ってくれないのだ。
「反面教師にしています。『あなたの話を聞いていますよ』ということを表す礼儀かなと思うし、私は意識して相づちをちゃんと打つようにしているんです」
ただ、あまり打ちすぎるのもダメなのかな、と迷うこともあると女性は言う。たしかに、多すぎる合いの手は、煩わしいと感じる人もいるかもしれない。
「相づちは回数よりも、本当に心から打っているか、です」
こう話すのは、話し方などを学ぶ「コミュニケーション・アカデミー」主宰の西任暁子さん。「聞く」という内的行為は他人から見えない。「あなたの話を受け取っているよ」を目に見える、耳に聞こえる形で表現するのが、相づちだ。
「つまり自分の相づちが相手にどう伝わっているかに、意識的でありたいですね。声色や言葉、無言の頷きなどボディーランゲージも含めた相づちのバリエーションを持つことも大切です」
西任さんのもとには中間管理職などから「部下に伝え続けても、変わってくれない。『話し方』を磨きたい」という相談が寄せられる。しかし西任さんはそのほぼ100%が、「原因は伝え方ではなく、聞き方」という。
「上司であるその人の話を、聞きたいと思ってもらえていない。聞いてほしければ、まず相手の話を聞き、信頼関係を作ること。そこから始めたいですね」
西任さんは、いつの時代もコミュニケーションエラーの原因は変わらない、と言う。それは「自分が正しくて、相手が間違っていると思っている」ことだ。