三笠宮さまの「斂葬の儀」に参列した演歌歌手の石川さゆりさん(中央)=2016年、東京都文京区の豊島岡墓地
三笠宮さまの「斂葬の儀」に参列した演歌歌手の石川さゆりさん(中央)=2016年、東京都文京区の豊島岡墓地

三笠宮さまの本葬では、石川さゆりさんも参列

 そして、葬儀において故人の人柄がにじむのが、参列者の顔ぶれだ。

 2016年に逝去された三笠宮崇仁さまの「斂葬の儀」にあたっては、三笠宮さまのご研究仲間のほかに、演歌好きの三笠宮さまがファンと公言し、親しく交流を重ねてきた演歌歌手の石川さゆりさんの姿もあった。

 百合子さまは、大正から令和まで四つの時代を生き、皇族として80年という歳月を過ごされた。そのなかで夫の三笠宮さまを支え、5人のお子さまを育ててきた。また、「母子愛育会」の総裁として福祉の向上に取り組み、「民族衣裳文化普及協会」の名誉総裁として着物文化の継承にも力を尽くしてこられた。

 この日の斂葬の儀には、旭日重光章の受章者で、75歳の現役バレリーナとして知られる森下洋子さんも参列した。豊島岡墓地門の周辺には、拝礼のために並ぶ人びとが長い列をつくった。

 列に並んでいた都内で勤務する男性は「講演会でお世話になったので百合子さまにお礼を伝えたところ、数行ですが直筆のお手紙をいただいて驚きました」と、その人柄を偲んだ。

 穏やかで包み込むような優しい方――そんなお人柄を慕う人たちが、百合子さまを見送った。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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