可能性としては鈴木(唯人)の方が大きい。20歳だった2022年1月にA代表に初招集された後、デンマークのブレンビーで実績を残し、満を持して2024年6月に代表デビューを飾った。武器は左右両足からの強烈かつ正確なシュートと推進力のあるドリブル。森保ジャパンの主要システムが、4-2-3-1から3-4-2-1に変更された今、シャドーのポジションは自身の能力を最も生かせる場所であり、南野、久保、鎌田とは異なる武器を持っている点は大きな魅力だ。近い将来の欧州5大リーグへのステップアップは確実であり、1年半の間に新天地で結果を出せば、その勢いのままW杯メンバーに入り込めるはずだ。

 心配なのが「負傷」である。まず、3バックの中央で高いレベルのプレーを披露していた谷口がアキレス腱断裂の大怪我を負い、11月13日の手術から復帰まで最低でも半年は要する。怪我の場所と現在33歳という年齢も考えると、1年半後にトップフォームを取り戻せているかどうかは大いに不安だ。

 また、3バックの左CBと4バックの左SBに適応できる伊藤も、名門バイエルンに移籍した今季開幕前に中足骨を骨折すると、復帰間近と伝えられた11月に再手術となって再離脱した。年明けの戦列復帰が期待されるが、そこから激しいポジション争いを勝ち抜けるかどうか。このまま実戦から遠ざかる時間が長ければ、メンバー入りに黄信号が灯る。さらに、本来なら不動のレギュラーであるべき冨安も離脱と復帰を繰り返しており、満足にプレーできない状況が続くようならばW杯本大会でも過度の期待は寄せられない。

 この3人に代わる人材として名前が挙がるのが、今回の11月シリーズで起用された瀬古歩夢、橋岡大樹の2人に、現状では高井幸大、渡辺剛、関根大輝、中山雄太といった面々になる。経験に加えて周囲との連携もより重要になる守備陣に関しては、例えば今季のJリーグで印象的な活躍を見せている中野就斗や中谷進之介、三國ケネディエブスなどが1年半の間にメンバー入りする可能性は、残念ながら低いだろう。唯一、抜擢があるとすれば、ブンデスリーガで出場機会を得ている20歳のチェイス・アンリか。特大のポテンシャルを持つCBは、同じく20歳の高井とともに今後1年半での成長を見込める。26人の場合は将来への投資の意味を込めた「若手枠」を採用する余裕も出てくるため、本大会でのメンバー入りを期待したいところだ。

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「成長」「負傷」と同じく大事な選考要素は?