「AERA dot.」に最近掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は10月14日に「AERA dot.」に掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
【署名活動も】「タブレット端末」の自費負担は家計にどれだけ響くのか
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小・中学校や高校で、いまや授業の必需品となったタブレット端末。公立高校では、これまで国の交付金を活用して1人1台のタブレット端末を整備してきたが、コロナ禍が明けてから保護者負担に切り替える自治体が増加している。入学時の費用増に保護者から悲鳴が上がっている。
1人につき10万円近い負担増
「タブレット端末の購入費は、家計に大きな負担です。うちは小・中学生の子どもが3人いるので、全員が県立高校に通うと、学費とは別に22万円を超える金額を負担することになってしまいます」
香川県高松市に暮らす福本由紀子さんはそう話す。
香川県は、県立高校の授業や宿題に使用するタブレット端末について、来年度の新入生から、公費負担から保護者負担に切り替える予定だ。端末の価格は約5万5000円。学習支援やセキュリティーなどのソフトウェア利用料と合わせれば、7万5000円ほどかかる見込みだ。
福本さんは7月、ママ友らとともに「香川県の高校生のタブレットについて考える会」を立ち上げ、9月中旬から地元商店街などで署名活動を始めた。
「お金に余裕がある家庭ばかりではない。子育て世帯にとって1人につき10万円近い負担増が厳しいことを、知ってほしい」
街頭やオンラインサイトで募った署名は、今月中に県の教育委員会に提出する予定だという。
学校教育に必須なのに
いまや、学校教育にタブレット端末は必須だ。文部科学省によると、義務教育の小・中学校における1人1台端末の整備状況は、全自治体等のうち99.9%が完了(2022年度末時点)。同省が今年5月に行った調査によると、公立高校でもタブレット端末の整備率は100%を超えた(予備機を含む)。
このうち、23府県は公費負担、24都道府県は保護者負担。市区町村立も含めて、公費負担のタブレット端末は計約103万台で、前年と比べて約6万台減だったのに対して、保護者負担は計約100万台。約26万台増だった。
だが、タブレット端末は高価だ。また、端末管理の煩雑さを防ぎ、教員の負担軽減を図るために指定機種を推奨している自治体もある。