上皇さま美智子さまは2014年、式年遷宮があった伊勢神宮(三重県伊勢市)を参拝した。20年ぶりに剣と璽(まが玉)が皇居から持ち出され、伊勢神宮に置かれた鏡と合わせて、皇位継承の象徴である三種の神器がそろう日でもあった。

 この日、美智子さまが身につけていた白い帽子とドレスは、小石丸の絹織物だった。女性皇族の参拝服は絹織物で仕立てられるが、なかでも皇后の参拝服は別格なのだ。

「皇后さまは、昔に仕立てたドレスやスーツなども大切にお召しになるので、新しくおつくりする機会があまりございません。ただ、小石丸でおつくりした参拝服は、一着はお持ちのはずです」

 皇室の事情に詳しい人物は、そう話す。

 雅子さまが、天皇陛下愛子さまと一緒に慈しんで育てている小石丸。小さな蚕が、日本の歴史と伝統を支える一つになっている。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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