山本由伸:オリックスでリーグ3連覇を飾り、ドジャースに移籍1年目でワールドチャンピオン。昨年にWBC制覇も果たしており、まさに「優勝請負人」だ。故障で苦しい時期があったが、ポストシーズンの活躍は見事だった(写真:AP/REX/USA TODAI Sports/ロイター/アフロ)
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 今季、異次元の活躍をみせた大谷翔平選手だけでなく、メジャー1年目の山本由伸選手の快投と今後にも注目したい。日本人初のメジャーリーガー、村上雅則さんが解説する。AERA 2024年11月18日号より。

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 大谷翔平(30)、山本由伸(26)擁するドジャースが4年ぶりのワールドチャンピオンに輝いた今年のメジャーリーグ。大谷は本塁打、打点の二冠王に輝き、前人未到の「50本塁打&50盗塁」を記録するなど想像を超えた活躍で世界を熱狂させた。

 メジャーリーグでは、大谷を含め現在13人の日本人・日系人選手が活躍している。彼らの今季の活躍を、日本人初のメジャーリーガーで、現役時代に日米通算108勝39セーブを記録した村上雅則さん(80)に分析してもらった。村上さんがジャイアンツでプレーしたのは1964、65年の2年間。「マッシー」の愛称で親しまれた左腕は65年に45試合に登板し4勝1敗8セーブ、防御率3.75をマークしている。その後に野茂英雄さん、イチローさん、松井秀喜さん、黒田博樹さんら日本球界を代表する選手たちが歴史を紡ぎ、現在に至る。そして、メジャーの常識、固定観念を覆すスーパースターが現れた。投打の二刀流で前人未到の領域を突き進む大谷だ。

異次元の活躍で世界一

 ドジャースに移籍した今季は昨オフに右肘の手術を受けたため打者に専念。投手としての「リハビリ期間」で打撃の懸念が影響されたが、杞憂に終わった。 

 159試合出場で打率3割1分、54本塁打、130打点、59盗塁。三冠王は逃したが、異次元の活躍だった。6年間在籍したエンゼルスでは出場が叶わなかったポストシーズンも勝ち抜き、ワールドチャンピオンにも輝いた。村上さんは言う。

「神様もこの活躍を想像できなかったでしょう。素晴らしいの一言に尽きます。大谷選手は人間的にも謙虚ですし、世界中の人に愛されている。日本は少子化が進み、子どもたちの野球離れが進んでいる中、野球の魅力を伝えてくれている。彼に憧れてメジャーでプレーしたいと思う子たちが増えています。歴史に残るスーパースターですよ」

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『クソ度胸』がないと米国では通用しない