倹約家で料理上手なシロさんを演じる西島秀俊

 なぜここまで視聴者の心にセリフがしみるのだろう。テレビウォッチャーの中村裕一さんは「シロさんケンジが多くの人に愛されている証」と分析する。

何気ないシンプルな言葉

ドラマの放送後も各ストーリー、各キャラクターのセリフがピックアップされるのは、それだけこのドラマの世界観とキャラクターが多くの人の心に浸透し、愛されている証だと思います」

 セリフをピックアップしてみると、何気ないシンプルな言葉なのだ。

 ケンジ「いろいろ変わっていくけど悪いことばかりじゃないよ」

 第1話でケンジがシロさんに言うセリフ。シロさんに思いつめたように「話があるんだ」と言われ、ケンジは動揺する。すると、「今月から食費を3万円に上げたい」と。別れ話でも頭によぎっていたのか、ケンジはそんなことだったのかと安堵し、「ハーゲンダッツだって値上がりしてるし」と快諾。

 しかし、シロさんはまだ「本当にすまん、ケンジ!」という。ケンジが健康診断でコレステロール値が高いのは「俺のせいかもしれない」と。食費を2万5000円にしていたばかりに、赤身肉ばかりで魚料理を食べさられなかっただからと反省しているのだ。

 真剣に謝るシロさんに、ケンジは「俺の健康のために色々考えてくれてありがとう」と言い、その気持ちを受け止め、“変わっていくことは悪いことばかりでない”というセリフをつぶやく。

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