衆院選が10月27日に投開票され、自民党、公明党の連立政権が大幅に議席を減らし、少数与党となりました。一方で躍進し、与野党の間で存在感を高めることになったのが国民民主党。「手取りを増やす」を重要政策として掲げていた国民民主党が、選挙戦で繰り返し強調していた「103万円の壁」という言葉が、選挙後も大きな話題になっています。
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取材を受けたり、講演に呼ばれたりした際に大学生と話をする機会があるのですが、年末も近づいてきているからか、自分が今年稼いだバイト代がトータルでいくらになるかを気にしている人が増えてきたように感じます。
主にアルバイトやパートで得られた年間の収入が一定の額を超えてしまうと、これまでなかった税金などがかかるようになる。その「壁」を気にしているのです。
そのような収入の境界線は「103万円の壁」と言われるものを含めて複数あり、その線引きの見直しがいま、議論になっています。
「『自公国』が政策協議スタート 『103万円の壁』引き上げが焦点」(11月5日配信、朝日新聞デジタル)
税制改正で最大の焦点になるのが、国民民主が衆院選の公約にも掲げた所得税の課税対象基準の引き上げだ。国民民主は所得税がかかり始める「103万円の壁」を、178万円まで引き上げるよう求めている。
何枚もある「壁」
実は「◯◯万円の壁」というものは、いくつもあります。簡単に説明しましょう。
・100万円の壁
自治体によって異なる場合もありますが、まずは給与収入で年収が100万円を超えると、住民税が引かれるようになります。住民税は所得(年収マイナス必要経費)に応じて計算され、100万円を超えて高くなればその分、住民税も高くなっていきます。
・103万円の壁
いま話題となっている「103万円の壁」は、年収が103万円を超えると、所得税がかかるというものです。
年収から所得税を計算するにあたっては「控除」があり、年収が基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円の計103万円を超えなければ、所得税はかからないのです。