S&P30で5割以上
「花形銘柄である『米国トップ10』の時価総額は、S&P500の時価総額の4割弱を占めています。S&P500を保有していても、米国トップ10の恩恵を十分に受けられるわけです。なおS&P500の上位30銘柄でS&P500全体の5割以上を占めてしまいます」
米国トップ10やナスダック100は業種が偏りすぎている。情報通信関連が総コケするとキツい。
「S&P500もそれは同じですが、しばらくすると宇宙や素材、はたまた新たな有望セクターが上位に来るでしょう。業種が分散されると価格変動リスクが(単一セクターより)抑えられます。10社に分散しても、同じテック株に投資する場合、リスク低減効果はほとんどありません」
最後に、前出の武田さんのコメントが印象的だった。
「銘柄数を絞った投信は、個別株投資に近い側面があります。『個別株だ、10銘柄まとめ買い』などと考えて買うことは否定しませんし、それも投資の一つでしょう。
ただ、リスクに慣れていない初心者を『こっちのほうが利益が出る可能性が高い』と誘導することには違和感があります」
本誌も同意見だ。FANG+や米国トップ10への投資を阻止するわけではないが、初心者には勧められない。いいときはゴキゲンだが、やられたときのダメージは金銭的にも精神的にもつらい。
取材・文/安住拓哉、中島晶子(AERA編集部)
編集/綾小路麗香、伊藤忍
『AERA Money 2024秋冬号』から抜粋