格段にハイリスク
楽天証券の投資情報メディア、「トウシル」編集長の武田成央(さだちか)さんに売れ行きを聞いた。
「米国株、中でもGAFAMやエヌビディアなどテック系大型株がここ数年、爆発的に上昇したこともあり、これらの『銘柄絞り込み系投信』は直近の成績がS&P500より上だったことは事実です。
楽天証券でも自社で買われた投信のランキングを定期的に集計していますが、『iFreeNEXT FANG+インデックス』は今でも当社売れ筋のベスト10に頻繁に入ります。もちろん順位的には全世界株式やS&P500のほうが上ですが」
個別株の最近のパフォーマンスが飛び抜けていいからといって、この先それが続くかは疑わしい。実際、2024年6月末あたりまで飛ぶ鳥を落とす勢いだったエヌビディアの株価は7〜8月上旬、9月上旬に大きめの下落局面があった。
過去を振り返ると、2022年末はメタ・プラットフォームズの株価が前年末比60%以上も下落。その後は2023年末に前年末比2.94倍まで反転し、2024年9月20日現在で前年末比60%近くまで上がっている。
「個別株でテック系ですから、株価に大きな浮き沈みがあります。銘柄分散という観点からすると、500銘柄が対象のS&P500より10〜20銘柄だけで運用する投信のほうが格段にリスクは高い」
ナスダック100勝利
リスクが高くてもリターンがついてくれば、と思う人もいる。ここでデータ検証。S&P500とナスダック100、米国株の時価総額トップ10銘柄ポートフォリオ(以下「米国トップ10」と表記)をそれぞれ買って20年間保有した場合、過去の実績ではどれぐらい運用成績に差が出ているか。
米国モーニングスターの100%関連会社、イボットソン・アソシエイツ・ジャパンCIOの小松原宰明(ただあき)さんに壮大なシミュレーションをお願いし、その結果を図にまとめた。
「米国トップ10」は毎年6月末に、その年のS&P500の時価総額トップ10に銘柄を入れ替えながら計算している。