「AERA dot.」に最近掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は10月10日に「AERA dot.」に掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
【写真】岡田監督が引退セレモニーで花束を渡していた相手が新監督に?
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リーグ連覇を逃した阪神は岡田彰布監督が今季限りで退任することが決定。今月12日から開催されるCSファーストステージで下克上を目指す。最後の戦いが注目される一方、次期監督の最有力候補と目されるのが、球団OBで野球評論家の藤川球児氏だ。
藤川氏は20年限りで現役引退以降、バックネット裏から阪神を見てきた。指導者経験がないことを不安視する声があるが、スポーツ紙デスクは「ネックにはならない」と強調する。
「落合博満、工藤公康のように指導歴がなくても名将になったケースがある。監督の資質として問われるのが分析力、観察眼に基づいたベンチワークです。藤川は解説を聞いて分かるように、投手心理や配球を読む分析力、試合の流れでポイントになる部分を指摘し、視聴者に分かりやすく伝えることに秀でている。阪神を外から見てきたことで視野が広がり、他球団との違いや阪神の強み、修正しなければいけない課題を頭の中で整理できていると思います」
現役時代は「火の玉ストレート」を武器に、日米通算811試合に登板して61勝39敗245セーブ164ホールドをマーク。阪神の絶対的リリーバーとして輝かしい実績を残したが、決して順風満帆の野球人生だったわけではない。ドラフト1位で入団したが、プロ4年目まで1軍に定着できなかった。
阪神を取材していたスポーツ紙記者は当時を振り返る。
「同期入団の上原浩治、松坂大輔が1年目から大活躍していたのに比べ、なかなか芽が出なかった。トレード要員とささやかれていた中で、岡田監督に才能を見出されてリリーバーで大ブレークしました。その後にメジャーに挑戦しましたが、トミー・ジョン手術を受けるなど度重なる故障で思うような結果を出せなかった。剛速球を武器に活躍したイメージが強いですが、彼は苦労人です。ファームでもがき苦しんでいる選手の気持ちが分かるし、心の芯が強い。野心がありますし、常に堂々としていて統率力がある。監督向きのタイプだと思います」