ライターがつかなくなる最悪の事態を想定して、テントの中で食料について相談する。アルファ米(乾燥米飯)の袋を手に、「人間7日食わなくても大丈夫だし、これを生で食えばなんとかなる」と話す井之上さん(右)

「Z世代は冷めてる」って、遺憾です(笑)

「ロープを結びあって命を預けあう、深い絆で結ばれた仲間ができる」(井之上さん)

「大学から始めても、未踏峰登頂という壮大な挑戦ができる」(中沢さん)

「卓球部だった高校時代は団体戦に出られず悔しい思いをしたけど、山岳部にはベンチもレギュラーもない。全員がチームに欠かせない役割を担える」(芦沢さん)

登山は人と競わない。自然を相手に、自分の足で世界を広げていける」(横道さん)

「普通に生きていたら見られない雪と岩と氷の世界で、自分だけの道を開拓できる。それだけでワクワクしませんか?」(尾高さん)

稜線から夜明けの空を眺める

 歴史に新たな1ページを刻んだ彼らは、「偉そうなことは言えませんが……」と謙遜しつつ、最後にこんなメッセージを口にした。

「世間の大人たちに『山岳部は今も頑張っているんだな』と、そして高校生たちに『山って楽しそうだな』と思ってもらえたら、僕らの遠征の一つの意義になったと思います」(井之上さん)

Z世代は冷めてるって悪い印象を持たれがちなのは、遺憾です(笑)。僕らが昭和気質なのかもしれないけど、情熱を持っている人もちゃんといます」(横道さん)

 自然との闘いの中で磨き上げた不屈の心で、5人はこれから、どんな地平を切り開いていくのだろうか。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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