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満を持してお手頃標準レンズの登場

 α7シリーズ用には、すでにカール ツァイスブランドのSonnar T* FE55㎜ F1.8ZAがあるが、リニアモーターによる滑らかなAF作動と、絞り開放からいっさいのよどみなく鋭く切れ込んでいく描写、そして実売9万6400円で別格のレンズだ。
 一方の今回のFE50㎜ F1.8は、DCモーターによる、いかにもAFレンズという雑味の残る使用感。また、バックフォーカスの長い対称型で一眼レフ用のようなレンズ構成で、絞り開放では若干の柔らかさを残したようなピントだ。この描写傾向は一眼レフカメラが50mmF1.8とセットだった時代に写真を始めた人なら、むしろ安堵感で満たされるかもしれない。とはいえ、絞り開放からf5.6あたりまで、絞りを変えても雰囲気の変わらない描写の安定性などは、最新のレンズならではだ。

ピントの合っている部分だけ強調され浮き上がることなく、ボケのグラデーションと自然につながる。周辺部はピントが合っていれば乱れないが、ボカせばいかにも周辺の描写といった感じになる●α7Ⅱ・AE(絞りf1.8・400分の1秒)・ISO100・AWB・JPEG
ピントの合っている部分だけ強調され浮き上がることなく、ボケのグラデーションと自然につながる。周辺部はピントが合っていれば乱れないが、ボカせばいかにも周辺の描写といった感じになる●α7Ⅱ・AE(絞りf1.8・400分の1秒)・ISO100・AWB・JPEG

デザイン
マウントに対して太めのデザインは、α7シリーズに装着した際、程よい存在感になる。付属のレンズフードも口径が十分なためか花弁形ではないのも標準レンズのルックス的には美しい

使用感・操作感
ゾナー55mmと比べると、DCモーター駆動ということもあってAFも特に静かではなく値段相応の感触。高級感ぶらない気やすい使用感ともいえる。軽いのはよい

描写性
キレキレというわけではなく、空間が空気で満たされていることを思い出させるような描写。肩の凝らない写りで、神経質にならずに写真撮影を楽しめる標準レンズだ

◆まつうらやすし

*  *  *

●焦点距離・F値:50mm・F1.8●レンズ構成:5群6枚(非球面レンズ1枚)●最短撮影距離:0.45m●最大撮影倍率(35mm判換算):0.14倍●画角:47°●フィルター径:φ49mm●大きさ・重さ:φ68.6×59.5mm・186g●価格:税別3万8000円(実売2万9640円)