イベントや展示会で、企業の商品PRなどを担うイベントコンパニオン。華やかな世界に見えて、その実、厳しい現実がある。過酷な現場をくぐり抜けてきた元コンパニオンが、現役時代にかけられた、イラッとする「ひと言」を明かす。(ライター 若林理央)
顔をしかめた女性社員
時々話題になるレースクイーンや野球場のビールガール、そしてコンパニオン不要論。「彼女たちの仕事は女性に対する搾取である」といった記事もたまに目にします。
私はそのたびに「自分で選んで女性性を生かせる仕事をしたらダメなのだろうか」と考え込んでしまいます。
露出度の高い衣装を着ているからなのか、立って笑っているだけに見えるのか、若い女性の搾取に見えるのか。
現役コンパニオンだったころ何度もあったのが、展示会の前、衣装のワンピースに着替えて、今日働く企業のブースに行くと、女性社員の方が顔をしかめたことです。
考えすぎだったのかもしれません。ただ女性社員に衣装を着せるとセクハラになるのに、私たちは衣装を着て接客する。そのことに違和感を抱く人がいるのもたしかです。
私としても「女性社員ならセクハラになることをする仕事がコンパニオン」と思うと複雑な気持ちです。一方で私は、コンパニオンは、企業のイメージガール兼営業補佐だと思っていました。
展示会コンパニオンの大事な役目
展示会でのコンパニオンの仕事はさまざま。受付をしたり、企業のブースに来場者に来てもらえるよう声がけをしたり。もっとも多かったのは名刺をもらい、来場者をブース内に誘導することです。
少しでも企業の商品に目をやった来場者に声をかけて、来場者が足を止めたら、ほとんどの場合、名刺をもらえます。それからブースにいる営業さんを呼びます。
企業(クライアント)によっては、呼びかけはすべてコンパニオンにまかせて、ブース内で立って雑談をしている社員もいます。
そうやって呼び込んだお客さんが、ブース内で商品の説明を受けて、「一度商談をしたい」と言うことも。ただ、それは営業マンの成績になります。商品のところまで案内して、名刺も受け取ったコンパニオンは、当然と言えば当然ですが、ほとんどお礼を言われません。