野手で大きくアピールしたのが野口恭佑(阪神)だ。2022年の育成ドラフト1位で九州産業大から入団すると、1年目から二軍で3割を超える打率を残してオフには支配下に昇格。2年目の今シーズンも二軍ではチーム2位タイとなる5本塁打を放っている。フェニックス・リーグでは10月18日のDeNA戦、20日の巨人戦、23日の日本ハム戦と3試合連続ホームランを記録するなどいずれもチームトップとなる3本塁打、9打点を記録したのだ。
パンチ力が大きな魅力だが、しっかりボールを見極める選球眼の良さも備えており、出塁率の高さも光る。課題と見られている守備面でレベルアップを果たして、来シーズンは外野のレギュラー争いに加わりたい。
育成選手ながら面白い存在となりそうなのがティマ(巨人)だ。チームがドミニカ共和国で行ったトライアウトを受けて合格し、2021年に育成選手として入団。来日当時はまだ16歳と若かったこともあって1年目は主にトレーニングに終わったが、2年目からは三軍で経験を積むと、4年目の今シーズンはイースタン・リーグ2位となる15本塁打を放つ活躍を見せた。フェニックス・リーグでも10月13日に行われた四国アイランドリーグ選抜との試合で豪快なホームランを放つなどそのパワーを見せつけている。
19日の韓国・斗山との試合ではフェンスに激突して途中交代となり心配されたが、最終的に26打数10安打、打率.385をマークするなど確実性でも成長しているところを見せた。今年で20歳という年齢を考えるとチームのトッププロスペクトとも言える存在である。このまま順調にいけば来シーズンは支配下契約、そして一軍デビューも十分に期待できそうだ。(文・西尾典文)
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。