「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。
【写真】足が不自由でも特別な配慮を極端に拒む高2の息子 「脳性まひの日」に当事者の親として語ったこと
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10月6日は「世界脳性まひの日」です。
各国では以前からさまざまなイベントが開催されているようですが、日本では数年前までほぼ知られていませんでした。
そんな中、2022年に、俳優の東ちづるさんが理事長をされている一般社団法人 Get in touchが、脳性まひのシンボルカラーの緑色に合わせ、「もうひとつのみどりの日」として「Warm Green Day」というイベントを立ち上げたことが話題を呼び、今年は3回目のイベントが開催されました。
私が運営するNPO法人かるがもCPキッズも、脳性まひの子どもと保護者をサポートする団体として1回目のイベントに呼んでいただいたことをきっかけにこのプロジェクトを応援しています。そして今年度は、ゲストコメンテーターとしてイベントに登壇させていただきました。今回は「Warm Green Day」について書いてみようと思います。
都庁が緑にライトアップ
Get in touchがこのイベントを企画したきっかけは、ある脳性まひの当事者が「世界自閉症啓発デーは広く知られているのに、脳性まひの日は誰も知らない」と言ったことだったそうです。Get in touchの活動の趣旨は、偏見をなくし多様性を認め合うまぜこぜ社会の実現です。当事者の話を聞いて「脳性まひの日の周知に協力しよう!」となったようです。Get in touchの働きかけもあって、毎年10月6日は、都庁や神奈川県庁などシンボルタワーがグリーンにライトアップされます。
当日。お昼すぎに会場に着くと、とても華やかな雰囲気でイベントのセッティングが進んでいました。こういう場面は何度見ても「すごーい!」「楽しそう!」と、テンションが上がります。Warm Green Dayのワークショップのコンセプトは、3年連続で「生きづらさだヨ!全員集合」です。障害があるゆえの生きづらさについて、登壇者が4分以内でそれぞれの立場から話をします。「脳性まひの代表として話さない」「否定しない」「解決策を求めない」などのルールはありますが、とても自由で開かれた場です。