鈴木涼美さん
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 作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。

【写真】キャバクラのロッカールームで…20代の鈴木さん

Q. 【vol.26】マッチングアプリを退会しない彼にモヤモヤするワタシ(40代女性/ハンドルネーム「猫殿」)

 付き合って1年ほどの彼がいます。マッチングアプリ上で出会って、近々結婚もする予定でした。ふと気がついたら彼はまだ熱心にアプリ上で活動をしているようでした。気分が悪いので、退会をお願いしたところ、ビジネス上のつながりが広がるし恋愛感情はないから絶対に退会しないとのことでした。そんなに新たに女性と出会いつづけたいのなら別れて自由に遊んだらいいのに別れてもくれません。どうしたらいいのかよくわからなくなっています。

A. モテたい欲は死んでも消えない

 マッチングアプリがビジネス上のつながりに役立つ、というのは、若い学生キャバ嬢が親バレした時に言う「キャバクラは社会勉強になるし有益な人脈ができる」という台詞と同じで、一瞬それらしく聞こえるけれど実際の目的はやはり別のところにある言い訳でしかない気がします。大体、恋やセックスや結婚の相手を探すことを目的としたその類のアプリをビジネスチャンスとしているのなんて国際ロマンス詐欺犯かせいぜいホストくらいのものであって、恋愛目的で登録している人からすれば迷惑な話なわけです。

 私の友人にも、アプリで出会った彼がまだアプリをやめていなくて自分の知人とマッチしてしまった、と話していた子がいました。その彼の場合は、登録を削除するのを忘れていた、という白々しいことを言っていたようですが(だったらなぜ新たに彼女の知人とマッチしたのか、ミステリーです)、指摘を受けて一応その後は削除したようです。その人に比べると、今回のお便りに登場する彼はある意味で堂々と開き直っていらっしゃる。アプリという楽しい玩具を絶対に手放したくないという意志を感じます。

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モテたい欲=貧乏くさい欲