取材に厳しい表情を見せる西村氏

上脇教授は西村氏の「言い訳」を否定

 本来、安倍派政治資金パーティー券収入のキックバックを受けたのであれば、政治資金収支報告書にはそのように記載しなければならない。だが、西村氏は自身の政治資金パーティーの収入だと記載したので、「不記載」の裏金ではない、と主張している。だが、これは政治資金規正法からみれば、虚偽記載に該当しかねない。

 そもそも西村氏は安倍派の事務総長も務めており、安倍晋三元首相が派閥の会長に返り咲いたときにキックバックをやめるという指示を聞いている立場だ。安倍元首相の「指示」の時点で裏金が問題であることはわかっていたはずだが、政治資金収支報告書の訂正は、裏金事件が騒がれ始めてからである。

 神戸学院大学の上脇博之教授は、
「西村氏は、安倍派のパーティー券の販売収入の一部をキックバックされ寄付を受けていながら、その寄付を収支報告書に記載せず、自分のパーティー収入として誤魔化して虚偽記載していました。二重に悪質な政治資金規正法違反で、故意に行なわれた違法行為であることは明らかです」
 と西村氏の「言い訳」を一刀両断にする。

「公明党には比例区でお返しする」

 西村氏の公明党への感謝の言葉は続いた。

「私の集会の中でも、比例区公明党もしっかりお願いしている。自民党の他の方もおり、(比例は自民に)プラスになってほしい気持ちもあります。しかし公明党さんにこれだけお世話になってるわけですから、その分はちゃんと比例区でお返しする」

 集会の最後は公明党の地元市議が、
「推薦した限りには絶対当選させる。また比例区は公明党というお話も聞きました。全力で戦いましょう」
 と「比例は公明党」のお礼と言わんばかりに檄を飛ばし、
「エイエイオー」
 と会場全体で気勢をあげると、西村氏は感激した様子だった。

 だが、先の集会参加者はこう突き放す。

「西村は『言い訳がましいが』と何度も言っていた。本当やわ。なんで公明党が自民党の裏金議員を応援しないとダメなんや。今日は仕方なく拍手しただけ。多くの参加者も同じ気持ちでしょう」

 裏金問題などを報じられた西村氏は、メディア不信を高めているのか、選挙戦の予定を一部しかメディアに公開していない。この公明党の集会参加も告知していなかった。

 記者は西村氏がJR大久保駅前で演説するという情報を入手して、直撃取材するため待ち構えたところ、他のメディアも居合わせた。有権者ににこやかに挨拶していた西村氏を取り囲んで、テレビ局がマイクを手に声をかけると、西村氏の表情は一変。

「今、選挙活動しているんや、わかるやろ」

 と怖そうな声で言い、インタビュー取材に応じなかった。

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