姿を見せない俊博氏は動くのか
世耕氏を支援している地元市議は、
「二階俊博氏は公明党が推薦してくれないことをカンカンに怒っているそうだ。情勢も厳しく、企業や団体などにきつく締め付けをしているが逆効果になっているとも聞かれる。伸康氏が俊博氏の秘書を10年以上もやって、裏金のことは何も知らんとばかりに選挙をしていることにも反発が強い。世耕氏は裏金のことを最初に謝罪して演説に入っている姿勢が『ええわ』という有権者が多い」
と裏事情を打ち明ける。
一方、和歌山県町村会の会長で伸康氏を最初から推してきた九度山町の岡本章町長は、
「これまで、お父さんの俊博氏は始まる前から当選確実という選挙ばかりだった。保守が割れ、接戦になるような選挙は最近なかった。俊博氏はよう知っているが、伸康くんって誰?という感じの有権者もかなりいる。知名度で負けているのが情勢調査に出ているのかな。世耕氏は、もう衆院選では勝ったような雰囲気だが、裏金事件が今も問題になっているのに、おかしいでしょう。自分のことばかりだ」
と憤慨する。
石破首相が伸康氏の応援でマイクを握っていた時、父の俊博氏は会場に姿を見せなかった。「体調不安」説も流れる俊博氏だが、和歌山県議の一人はこう話す。
「このままいけば、世耕氏は勝てるでしょう。伸康氏は比例復活も危うい情勢です。ただ、俊博氏がなんらか動き出した時、何かが起きる気がします」
「二階王国」の危機に、俊博氏の秘策はあるのだろうか。
和歌山2区ではほかに、いずれも新顔で立憲民主党の新古祐子氏、共産党の楠本文郎氏、諸派の高橋秀彰氏が立候補している。
(AERA dot.編集部・今西憲之)