被災者宅の「被災診断」の現場。泥は重量があり、被災者が自力で掻き出すのは困難。災害ボランティアも手伝う(写真:吉村誠司さん提供)

 日本の災害救助法は、戦後間もない1947年の法制定時から、大きく変わっていない。だからこそ、国レベルの支援のあり方の見直しが不可欠になると鍵屋さんは強調する。

「法制定時は日本が若かった時代。能登のように日本が高齢化した社会を想定していなかった。特に高齢者は、『災害関連死』防止の観点からも、長期避難生活のストレスから生じる健康悪化や自殺を防ぐためのケアなども、仕組みとして検討していくべきでしょう」

 自治体レベルでの模索は続く。今回、輪島市では従来の二次避難のあり方を見直した。厚生労働省DMAT事務局災害医療課の上吉原良実さんによれば、なるべく地域、家族の単位を崩さないように避難の調整をする方針だという。

「今は、家族単位で入居できる福祉避難所の設置に取り組んでいます。これにより、要配慮者と家族が離ればなれになることを防ぎ、家族による支援を継続させることができます。現在、4カ所の施設がこの新しいタイプの福祉避難所として機能しています」

 高齢化率の高い奥能登では、未曽有の複合災害の教訓から、試行錯誤の取り組みが続く。(ジャーナリスト・古川雅子)

AERA 2024年10月28日号より抜粋

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