楽天の今江監督
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 先週に多く読まれた記事の「見逃し配信」です。ぜひ御覧ください(この記事は「AERA dot.」で2024年10月15日に配信した内容の再配信です。肩書や情報などは当時のまま)。

【写真】J1のヴィッセル神戸でも頻繁な監督交代をしている楽天オーナーはこの人

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 楽天の今江敏晃監督が解任され、三木肇2軍監督の就任が発表された。

 今江監督は今季が2年契約の1年目。交流戦で球団史上初の優勝を飾ったが、ロッテとCS進出争いをしていたシーズン終盤に今季ワーストの8連敗を喫したことが響き、3年連続4位に終わった。疑問符が付く采配がなかったわけではない。ただ、周囲に経験値の浅いコーチが多いことを考慮すべきで、現有戦力の中で目一杯の戦いをしたといえる。

 早川隆久、藤井聖の両左腕が共に11勝をマークし、辰己涼介が最多安打(158本)のタイトルを獲得。小郷裕哉が全球団唯一のフルイニング出場で32盗塁、小深田大翔が29盗塁と機動力を発揮した。20代の伸び盛りの選手たちが成長し、今江監督は来季に向けてどう戦うかイメージをふくらませていただろう。だが、球団の評価は途中解任だった。

 今江監督の続投が不透明だった9月下旬、現場では不安の声が漏れていたという。

「いろいろな選手が『今江さん続投ですよね? これで解任だったら意味が分からない』『今江さんどうなるんですかね…球団のビジョンが見えない』など、フロントへの不信感を口にしていました。そもそも、今江監督は全面的なバックアップを得て監督に就任したと言えない。長年守護神を務めた松井裕樹がパドレスに移籍したが、昨オフの目立った補強はポンセ、ターリ―ぐらい。2年契約で推定年俸4000万円と監督としては安すぎる条件でした」(楽天を取材するテレビ関係者)

 戦前の下馬評は低かった。最下位を予想する野球評論家も少なくない中で、下馬評を覆すためには改革が必要だった。則本昂大を守護神に配置転換し、浅村栄斗を三塁にコンバート。思い切った決断がすべて成功したとは言えない。それでも、選手たちは試合を重ねることで成長し、たくましくなっていった。

「今年は2年連続最下位から2位に大躍進した日本ハムが目立ちましたが、楽天も来季に向けて可能性を感じさせる戦いぶりでした。経験のあるヘッドコーチを置いて、ポイントゲッターになる打者、即戦力の先発投手を加えればさらに上を狙えると思ったのですが……。ここで今江監督を解任することで、チーム作りがまたリスタートになる。こんな人事ばかりをしていたら、監督の成り手がいなくなりますよ」(スポーツ紙デスク)

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「大きな過失もないのに失礼だ」