上脇博之さん(かみわき・ひろし)/1958年生まれ。自民党の裏金問題告発の火付け役。市民団体「政治資金オンブズマン」代表なども務める。著書に『検証 政治とカネ』など

 先日、私は石破首相の派閥「水月会」が政治資金パーティー収入明細を収支報告書に記載していなかったとして東京地検に告発しましたが、これは安倍派や二階派などの裏金づくりの手口と同じですから、石破派でも裏金がつくられていた可能性があります。

過半数取ればみそぎに

 残念ながら、今のままでは自民党は変わらないと思います。それどころか、衆院選で自公が過半数を取れば「みそぎは済んだ」として、裏金は過去の問題とするでしょう。

 自民党が変わるには、何より選挙で下野して反省すること。その上で、制度改革が必要です。自民党は莫大な政党交付金や企業・団体献金をもらえるため、国民の声を聞かず痛みを簡単に国民に押しつけてきます。「禁断治療」で政党交付金を廃止し、企業・団体献金も全面禁止にしなければいけません。

 選挙制度改革も必須です。

 今の選挙制度は小選挙区制のため、得票数と議席数が比例せず民意が反映されません。しかも、議員がカネの問題を起こしても、党は本人に説明責任を押しつけて逃げるのでほかの小選挙区の人は安泰です。防ぐには、衆参とも無所属の人も立候補でき、他の人も巻き添えを食って落選する「完全比例代表制」を導入するべきです。

 これらを実現するには、今度の衆院選は極めて重要となります。有権者は比例代表と小選挙区の2票があります。この2票で、裏金防止策を含め自分が期待する政策を実行できる党と人に投票して、裏金を許さないとの意思を投票で示すべきです。選挙に行かなければ、政治も政党も変わりません。「私の一票では何も変わらない」と思い選挙に行くことをためらっている人がいるかもしれません。しかし、政治家はそうしたあなたの一票が怖いのです。自民党のことを思えば思うほど、厳しい投票をするのが自民党のためにもなります。

 裏金問題を本当に許せない気持ちがあれば、ぜひ投票に行ってほしいと思います。

(構成/編集部・野村昌二)

AERA 2024年10月28日号

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