「われわれみたいな、AIを扱うソフトウェアエンジニアは、そのギャップを埋めていくのが使命です。AIの実装に関しては、ソニーは世界でも最先端をいっていると思っています。AIにどんなデータが必要かは、お客さんのニーズや状況によって異なります。ソニーの場合、必要なデータがわかれば、そのデータを拾ってくることができるセンサーという強みがあります」
と、楊は語る。ギャップを埋めるためのプラットフォームとなるのが、「AITRIOS」である。
たとえば、ユーザーが実際に使う際のインターフェースや操作性について、直感的に使いやすいような設計に改善する。あるいは、用途に応じてカスタマイズ、パーソナライズする必要もある。顧客が要求する性能に特化させたり、セキュリティやプライバシーの対策を講じたりする必要もある。目的や用途にあわせて、使いやすい形に整える必要もある。
「お客さんが、こんなセンサーを使ってこんなAIをつくりたい、使いたい、と思ったときに、それがすぐに実現できるプラットフォームをつくっていて、それを完全にしていきたいと思っているんです。AIの可能性はまだまだ広がっていきます」
と力を込める。
現在も、「IMX500」に関して、AIモデルの最適化、検証、データ処理、ライブラリ開発などを行っている。
多様な働き方が、パフォーマンスとエンゲージメントを向上させる
働き方改革の視点でいえば、SSSの開発の現場では、柔軟な働き方が許容されている。楊の場合、夜型なので、朝の始業時間は遅いタイプだ。現在は対外的な仕事は少ないので、時間の制約も少ない。在宅勤務も活用している。
新型コロナ禍で普及した働き方の多様化は、一部の企業では「在宅勤務制度の廃止」「原則出社」といった形で揺り戻しがきている。今後も、在宅勤務と出社の割合や制度には、流行り廃りがあるだろう。
しかし、重要なのは社員が、効率よく最大のパフォーマンスを発揮できるかどうかである。在宅勤務を推奨するか、禁止するかという議論ではなく、どうすれば社員の高いパフォーマンスとエンゲージメントを維持できるかが議論されるべきだろう。