山口県にあるKDDIのパラボラアンテナの前でインターンに参加する学生たち。出身学部は多岐にわたり、宇宙に興味のある学生も入社している(写真:KDDI提供)
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 学生優位の「売り手市場」が続いている。学生たちは大手企業にチャンスを見いだし、倍率が大幅に上がった企業もあった。AERA 2024年10月21日号より。

【表】人気企業110社が採用したい大学は? 就職者数はこちら(全9枚)

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 就職市場の人気ランキングで今年、大躍進したのはKDDIだ。

 25年卒が選んだマイナビの就職企業人気ランキングでは、理系で前年121位から3位、文系でも同306位から15位にまで大幅にランクアップした。

 理由は、携帯電話だけではなく、「通信を使って、あらゆる社会課題を解決する会社」としての認知が就活生の間で定着しつつあることのようだ。

 なぜKDDIはイメージを変えられたのか。新卒採用グループリーダーの足立晶子さんは言う。

「KDDIは何色なのか、学生に伝わっていないんじゃないかと思ったんです」

いい意味でのギャップ

 コロナ禍にリモート授業・勤務が行われ、通信が生活を支えていると実感した人は多いだろう。だから、世の中にKDDIのサービスは認知されている。だが、働く場所としては認知されていないのではないか。

「私たちの事業領域は通信を核に、幅広く展開されています。今キーワードになっているサステナビリティーも地方創生も通信が必要です。通信が溶けこんでいることがまだ伝わっていないのだと思いました」(足立さん)

 このバリアを打破しなければ、多様な学生に入社してもらえない。21年頃、採用ブランディングの強化に舵を切ったという。

 KDDIグループは通信事業を核として、銀行などの金融、ローソンと組んだDX(デジタルトランスフォーメーション)、エネルギー、ヘルスケア、メタバースなど幅広い領域に事業を展開している。入社後は「金融×DX」など通信を使った新たなサービスを作って、社会に実装する力がある点をよりアピールしてきた。その結果が今年の大躍進につながった。

 就職企業人気ランキングを担当したマイナビキャリアリサーチラボ研究員の長谷川洋介さんは言う。

「時代の変化に応じた新しい分野へのチャレンジをする姿勢に、いい意味のギャップがあって、学生は将来性や安定性を感じたのではないかと思います」

(編集部・井上有紀子)

※AERA2024年10月21日号10~15ページ「人気110社×大学の就職力」では、主要大学の人気企業就職者数を表にしています。当初51大学を予定していましたが、編集部が調整する際にミスがあり、誌面には49大学の掲載となりました。表紙には「51大学」とありますが、表紙の締め切りに間に合いませんでした。AERA dot.には、掲載できなかった龍谷大と西南学院大を加えた51大学の表を掲載しています。

AERA 2024年10月21日号より抜粋