選挙は、票を投じて自分の意思を表明する重要な場だ。2022年度からは高校で政治参加などを学ぶ新科目「公共」の授業も始まった(立体イラスト:kucci、撮影:写真映像部・和仁貢介)
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 選挙権の年齢が18歳以上に引き下げられて8年経つが、10、20代の投票率は低い水準にとどまる。若者の政治参加が進まないのはなぜなのか。東京、奈良、神奈川、沖縄の高校生がオンラインで初対面。語り合ううちに、政治を身近に感じるヒントが見えてきた。 AERA2024年10月21日号より。

【写真】オンライン座談会に参加した高校生

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──今回は「若者の政治参加が進まないのはなぜか」をテーマに、AERAサポーター高校生記者のみなさんで議論したいと思います。まず、みなさんは政治や政治家についてどんな印象を持っていますか。

服部紀伽(東京都立豊島高校3年):国民の代表であるはずなのに、そう実感できる場面がなく、遠い存在に見えている気がします。それに、政治家の年齢層が高いですよね。

石川明奈(沖縄カトリック高校2年):それも男性が多くて、属性が偏りすぎていると感じます。年齢層が高い男性中心の議会で、若い人や女性向けの政策がどれだけ出てくるのか、少し不安になります。

小坂井希実(奈良女子大学附属中等教育学校6年):実際、文部科学省の予算は減っていますよね。私の通う学校は国立なので、かなり直接的に影響している気がします。猛暑でもエアコンの設定温度を下げられないなど、教育現場がないがしろにされているように感じますね。

岡島由奈(神奈川・捜真女学校高等学部2年):あとは、裏金とか宗教との癒着とか、マイナスのニュースが多いので、本当に日本をよくするために働いてくれているのかなと疑問に思ってしまいます。清廉潔白に頑張っている方も多いと思うのですが。

「自分が言っても何も変わらない」

──若者の投票率は他の世代と比べて低いです。直近の国政選挙である2022年参院選は全体の52.05%に対して、18、19歳で35.42%、20代で33.99%でした。投票に行かない若者が多いのはなぜだと思いますか。

岡島:私たちの生活に政治が入ってきていないからだと思います。普段、私たちに向けられた政策があまり見えてこない。テレビをつけてもニュースではなくバラエティー番組を見る人が多いので、政治に対する関心も生まれません。その状態で選挙となっても「普段からよく知らないし」と、投票する意味を感じられないように思います。

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日常で感じるジェンダーギャップ