話題の生成AIが米国で問題視され、イーロン・マスク氏らが開発の一時停止を呼びかけた。ソーシャルメディアも若者への悪影響などが懸念され、規制の動きが出始めている。AERA 2023年4月17日号の記事を紹介する。
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人工知能(AI)システムが人類を危険と判断して抹殺しようとする映画「ターミネーター」(1984年)のような世界がやってくるかもしれない。米マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏が今年3月、ブログで予言した。
ゲイツ氏は、AIが世の中を良くするために使われれば、教育、ヘルスケア、ビジネスを活性化させ、同時に貧困を減らす可能性に「ワクワクしている」と前置き。そのうえで、悪用すると「超知能的なAIシステムが制御を失い」、さらに「人間を脅威とみなすかもしれない」と指摘した。
実は、科学者であり「ターミネーター」の生みの親でもあるジェームズ・キャメロン監督も警鐘を鳴らしている。米メディアは、彼がポッドキャストでこう語ったと伝える。
「AIはすごいかもしれない。でも、いわゆる世界の終わりとも言えるかもしれない。これまでテクノロジーが、武器となったことはないんだ」
ビッグネームが次々と懸念を示すのは文章や画像を生成するAIで、ネット上にある膨大なデータを集めて日々進化している。対話形式で2022年末から注目された「ChatGPT(チャットGPT)」に続き、マイクロソフトがAIを使った検索エンジン「Bing」、グーグルが同じく「Bard」を次々に発表した。
現在はコンピューター上で利用できるが、対話ができるだけに、ターミネーターでロボットの殺し屋となったアーノルド・シュワルツェネッガーの姿が想起される。
■政府の介入を求める
さらに、米ツイッター最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏らテクノロジー界リーダーと研究者1千人以上が3月29日、AIの研究所に対して最先端のシステム開発を一時停止するよう要請した。米アップルの共同創業者スティーブ・ウォズニアック氏も参加している。