「誰が漏らしたか知らないか」
先の淡路島の支援者はこう訴える。
「AERA dot.の記事が出てから、西村氏の秘書らが『あれは漏らした人物が悪い』と触れて回っている。それも特定の有権者、数人の名前まで出して『犯人捜し』までしているのです。私以外の有権者も、西村氏や秘書から『誰が漏らしたのか知らないか』と直接、その問い合わせを受けている。珠洲市を誹謗するような発言をしたことは西村氏も認めているのだから、趣旨は別にして謝罪、訂正すべきなのに、他人のせいにする対応にあきれます。西村氏のひどい発言をメディアに伝えるのは、公益通報ともいえます。淡路島のような田舎で、内部告発すると西村氏からどんな仕打ちを受けるのかとても怖く、仕事ができなくなるので、メディアにお願いするほかないのです。事実、犯人捜しをしていることで理解いただけるはずです」
西村氏は「失言」を反省するのではなく、秘書らを使って「犯人捜し」をしていたというのだ。
そこで「犯人捜し」の中心的な役割だと支援者から指摘されている西村氏の淡路島担当の秘書の携帯電話を鳴らすと、
「他の電話に出ています」
と話す。どれくらい後にかければいいかと聞くと、
「後で」
というばかりで電話が切れた。時間をおいて数回電話しても応答はなかった。
西村氏の支援者らに話を聞くと、淡路市の門康彦市長も西村氏側の意向を受けて、「犯人捜し」をしていたという情報があった。
市長は「私なりに動いて聞いたりはした」
そこで門市長に連絡をとると、AERA dot.の西村氏の問題記事は知っていると認めた上で、
「西村先生や秘書はとても記事を気にしていたと記憶している。ただ、西村先生から直接、犯人捜しということはなかった。秘書から? 何カ月か前なんで、そんなことはあったか、なかったかどうかな。けどあの記事が出てから、西村先生の側から飲み会のメンバーの(集合)写真は見せてもらった。誰が怪しいかわかっているので、私なりに動いて聞いたりはしましたよ」
と「犯人捜し」をしたことを暗に認めた。
そして、こう話した。
「衆院選も大事ですが、裏金はあまりにイメージが悪い。西村先生の評判、地元では、めちゃくちゃや。西村先生の衆院選は、はっきりいうて、まあまあやね。私も西村先生と一緒に地元の商店街を回るなど、どぶ板を手伝っているが、誰が勝つのか、ようわからない。それより、西村先生が応援していた斎藤氏の後継が誰になるかですよ。西村先生もえらいもんを知事にしたわな……。市長として現場を預かる身としては、注目するのは知事選の行方や」
前知事の斎藤氏は、内部告発の文書を入手した後、副知事らに告発した「犯人捜し」を命じた。そのことが、県議会の文書問題調査特別委員会(百条委員会)で専門家から、
「告発者の探索をしてはならない。公益通報者保護法に対して、あり得ない法令違反」
と厳しく指摘されている。
西村氏の「犯人捜し」も同様ではないのだろうか。
(AERA dot.編集部・今西憲之)