石破茂首相は15日に公示される衆院選で、自民党の裏金議員12人を非公認とした。その一人が、経産相や官房副長官などを歴任した西村康稔氏だ。
西村氏は裏金問題の中心となった安倍派の事務総長経験者で、自らもキックバックを受けていた。4月に自民党から党員資格停止1年の処分を受け、東京地検特捜部の取り調べを受けたことを地元の有権者に認めている。
西村氏の選挙区は兵庫9区で、明石市と淡路島にある洲本、南あわじ、淡路の3市が区域だ。西村氏は無所属で立候補することになるが、公明党は推薦を決めている。ほかに維新から加古貴一郎氏、立憲民主党から橋本慧悟氏、共産党から高田良信氏が立候補を表明しており、激しい選挙戦が予測される。
「裏金議員で、非公認のダブルパンチは想定できた。そこに知事の失職が加わり、トリプルパンチの選挙戦だ」
とぼやくのは西村氏の後援者だ。
兵庫知事選で斎藤氏を票とカネの両面で支援
パワハラや「おねだり」などの疑惑を内部告発した前県民局長を「嘘八百」などと断じ、懲戒処分にしていた斎藤元彦前知事。県議会から全会一致の不信任決議を可決され、9月30日付で失職に追い込まれた。
2021年の兵庫知事選では、自民党と維新が斎藤氏を推薦していたが、自民党で最も手厚く支援していたのが西村氏だ。西村氏は経産相で多忙の身でありながら何度も応援に入るとともに、政党支部を通じて斎藤氏の政治団体に500万円の寄付もしていた。西村氏は票とカネの両面で全面的にバックアップした、斎藤県政の“生みの親”だった。
21年7月の猛暑の中、西村氏が斎藤氏とともに明石市内のショッピングモール駐車場前で演説している様子を、AERA dot.では取材、動画撮影している。
西村氏は斎藤氏を横に従え、
「斎藤さんは若くて改革ができる候補者。井戸(敏三前知事)県政、長いことやると風通しが悪い。(井戸氏は知事公用車を)センチュリーに乗り換える、とんでもない。500万円、1000万円でもコロナで苦しんでいる人に支援をするべき。コロナで苦しんでいる皆さんの声を聞いて、実行してくれる候補だ」
と褒めたたえていた。
しかし、斎藤氏はさまざまな疑惑を内部告発され、県議会の全会一致で不信任決議が可決され、失職した。