AERA 2024年10月14日号より

ワクワクと誇らしさ

 東京在住の68歳の男性は、今も新幹線に乗るとき胸が高鳴ると話す。初乗車は中学2年生だった54年前、家族で「ひかり」に乗って大阪万博を訪れた。新幹線開業は小学2年生のときで、6年越しの初乗車だった。

「ずっと乗りたい乗りたいと思っていてね、前の日はワクワクして眠れなかった。実際乗ってみたら景色もよう見えんし退屈したようだけど、でも『俺はあの夢の超特急に乗ってるんだぞ』って、誇らしい気持ちになったのを覚えていますよ。あの頃から新幹線もずいぶん変わったけど、今でも東京駅のホームから乗り込むときは楽しい気分になりますね。この前は妻と金沢に行ってきた。こんなに北陸が近くなったのかと感動しました」

 人々を、そして思いを乗せて、新幹線は日本列島を走っている。(編集部・川口穣)

AERA 2024年10月14日号より
AERA 2024年10月14日号より

AERA 2024年10月14日号より抜粋

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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