ワクワクと誇らしさ
東京在住の68歳の男性は、今も新幹線に乗るとき胸が高鳴ると話す。初乗車は中学2年生だった54年前、家族で「ひかり」に乗って大阪万博を訪れた。新幹線開業は小学2年生のときで、6年越しの初乗車だった。
「ずっと乗りたい乗りたいと思っていてね、前の日はワクワクして眠れなかった。実際乗ってみたら景色もよう見えんし退屈したようだけど、でも『俺はあの夢の超特急に乗ってるんだぞ』って、誇らしい気持ちになったのを覚えていますよ。あの頃から新幹線もずいぶん変わったけど、今でも東京駅のホームから乗り込むときは楽しい気分になりますね。この前は妻と金沢に行ってきた。こんなに北陸が近くなったのかと感動しました」
人々を、そして思いを乗せて、新幹線は日本列島を走っている。(編集部・川口穣)
※AERA 2024年10月14日号より抜粋