阪神から自由契約となった岩田将貴(写真提供・阪神タイガース)
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 10月11日、来シーズンの契約を結ばないと通達するいわゆる“戦力外通告”の一次期間が終了した(クライマックスシリーズのファーストステージ敗退チームのみ敗退が確定した翌日まで)。ここまで多くの選手が今シーズンと同じユニフォームを着る可能性が極めて低くなったが、中には他球団であれば十分活躍の余地がある選手もいることは確かだ。

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 投手でまず名前を挙げたいのが加治屋蓮(前・阪神)だ。JR九州から2013年のドラフト1位でソフトバンクに入団。5年目の2018年にはリーグ最多の72試合に登板して4勝、31ホールドをマークしてチームの日本一にも貢献した。その後は故障もあって2020年オフに自由契約となり阪神に移籍。1年目は7試合の登板に終わったが、2022年は39試合、昨年は51試合に登板するなど貴重な中継ぎとして結果を残した。

 今年も一軍では13試合の登板に終わったが、ストレートはまだまだ150キロに迫るボールが多く、二軍では29試合に登板して防御率0.69と格の違いを見せている。セ・パ両リーグで日本一を経験している点も強みで、まだまだ戦力となる可能性は高いだろう。

 加治屋と同じ阪神の投手で実績はないものの面白そうなのが岩田将貴(前・阪神)だ。九産大九州では2年春に甲子園に出場。九州産業大でも2年春にMVPを受賞している。その後は肘の故障に苦しんだが、4年時に復帰し2020年の育成ドラフト1位で阪神に入団。2年目には二軍で好投を続け、7月に支配下登録を勝ち取った。

 3年目のシーズンとなった昨年は少し成績を落としたものの、今年は二軍で46試合に登板して防御率2.11と結果を残している。少しクロスにステップする変則的なフォームのサイドスローで、スピードはないものの独特のボールの角度が持ち味。制球力も高く、自滅することもない。なかなかいないタイプだけに、投手陣の層が薄いチームであれば、中継ぎとして活躍の余地は十分ありそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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