このほか「地球みまもりプラットフォーム」では、海洋環境の検知、森林火災の早期発見、河川の水位の把握による洪水の早期検知などが行われている。ソニーのR&Dのミッションの通り、まさに「この惑星を持続可能とする」ための研究開発だ。

仕事とは「社会とつながる場」であり「チャレンジ」

 桐山は現在、「地球みまもりプラットフォーム」のセンシングネットワークのプロジェクトリーダーを務めている。

 23年4月には、チームの所属がソニーグループから、ソニー株式会社へと変更された。ソニーが技術を世に問うていくなかで、エルトレスの開発は、より市場に近く、事業に近いところで開発をしたほうがよいという判断と見ていいだろう。

「私の場合、どの組織に所属しているから何をするという考え方ではなく、“やりたいこと” “やるべきこと”があって、その目指したいものに向かって働いているんです。そういう人が、ソニーには多いと思います。私はいま、『地球みまもりプラットフォーム』で地球全体をセンシングすることを目指しているので、それができなくなるならば、できる組織を探しますし、主体的にできる場をつくることも、ソニーはできる会社だと思っています」

 新型コロナの影響もあって、近年、桐山の周囲でも働き方は一変した。彼女の職場は、東京・大崎にあるが、在宅勤務も多くなった。もっとも効率的に働ける場所で仕事をするのがつねだ。ただ、チャットや文章では伝えきれないニュアンスを伝えるために、口で話し、音声で伝えることは意識して行っていると、桐山はいう。

『ソニー 最高の働き方』(片山修・著/朝日新聞出版)

 ズバリ、桐山にとって仕事とは何だろうか。

「1つは“社会とつながる場”です。自分の仕事が社会の役に立つとか、ユーザーに喜ばれるということがこれにあたります。

 もう1つは、チャレンジです。できなかったことができるようになる、世の中になかった新しいユーザー体験が実現する、地球を守るための取り組みなどは、チャレンジであり、仕事そのものですね。挑戦していれば、必ず成長がついてくると思っています」

 明るく笑って答える。成長を志向し、自分の進みたい道を選ぶ強い意思を持つ前向きなタイプだ。

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